ザ・ロックス・ディストリクト・オブ・ミルトンーフリーウォーターAVA
この産地で生産されるワインは、愛らしい香りのブーケ、風味豊かな味わい、そして飲み終わりにははっきりとした余韻の長いミネラルを感じます。このワイン生産地が、世界で最も特徴的な生産地の一つとして認識されているのには理由があります。
個性的、正統派、高評価
ザ・ロックス・ディストリクト・オブ・ミルトンーフリーウォーターは、ワラワラ・ヴァレーとコロンビア・ヴァレーのAVAに含まれ、オレゴン州北東部、オレゴン州ペンドルトンの北東25マイル(40km)、ワシントン州ワラワラの南5マイル(8km)のところに位置します。ロックス・ディストリクトは、ブルー山脈の麓からワラワラ・ヴァレーの広い平地に入り込んだワラワラ川によって堆積した、非常になだらかな沖積扇状地を占めています。標高は800から1,000フィート(245-305m)の範囲にあります。
生育期には晴天が続き、湿度も低いため、一日の気温差が大きくなります。夏場は5~10日程度、気温が38度を超える日があります。
ザ・ロックス・ディストリクト・オブ・ミルトンーフリーウォーターでは、ユニークな土壌が特徴的です。砂とシルトのマトリックスに玄武岩(暗色の火山岩)の小石や玉石で構成されています。岩石質の土壌は非常に水はけが良く、ブドウの木が深く根を張るのを促し、暗い岩石は土壌に効率よく熱を伝え、熟したブドウに熱を放射します。ザ・ロックス・ディストリクトは、単一の地形と単一の土壌系列によって境界が決定された、アメリカ合衆国で唯一のAVAです。
ザ・ロックス・ディストリクト・オブ・ミルトンーフリーウォーターでのワイン用ブドウの生産は、1860年代、最初にこの地に至ったイタリア人移民たちの手によって幕が開かれます。1880年代初頭のこの地域では、何千ガロンものワインを生産しており、多くはアイダホ州北部の金鉱で働く鉱夫たちにより消費されていました。1880年代後半には厳冬が続いたこととゴールドラッシュが終焉したことにより、ほとんどのブドウ畑が果樹園へと変貌せざるをえませんでした。そんななか、多くの農家は小さなブドウ畑を維持し、家族や友人のために限られた量のワインを生産し続けたのです。ロックス・ディストリクトでは、こうした小さな家族経営のブドウ畑の名残といえる、ぽつんと孤立した野生のブドウの木が見受けられます。
現代のワイン生産の始まりは1990年代、この地域のワインメーカーが植えたブドウ畑は、贅沢なアロマとユニークな風味を持つワインを生産し、高い評価を受けました。2015年には、ミルトン・フリーウォーター付近の玉石土壌に280エーカー(115ha)以上のブドウ畑ができ、ザ・ロックス・ディストリクトはオレゴン州18番目のAVAとして承認されました。
- 指定年:
- 2015年
- 総面積:
- 3,770エーカー (1,525ヘクタール)
- 作付面積:
- 472エーカー (191ヘクタール)
- 主な品種:
- シラー、カベルネソーヴィニヨン、グルナッシュ
- 顕著な土壌:
- 玄武岩の玉石と砂利(フリーウォーター系列)